隣の芝は青い

“鎖国”するケータイ大国ニッポン-ITニュース:イザ!
先日イタリアで、日本から持参の携帯電話を紛失した。現地で使えぬ第3世代(3G)端末だったが、電話帳メモリを確認しようと取り出したのがマズかった。左手に3Gを、右手で第2世代(2G)の「GSM」で電話するというブザマな“二本挿し”姿をスリに狙われたようだ。“ケータイデビュー”して14年、初めて遭遇した事件に、日本の特殊なケータイ事情を考えてみた。(立川優、写真も)

大手メディアでこの手の話題が取り上げられると、携帯開国に向けて状況が変わっていきそうなのでうれしい限りだが、記事の内容でちょっと気になるところがある。まず、

加入権と端末の分離のおかげで競争原理が働くので、伊ではプリペイド端末なら50ユーロ(7500円)前後だ。日本のGSM対応機種でもSIMさえ購入すれば、伊の国内通話料金扱いとなる(実際は、日本のキャリアによるSIMロックがあるが)。

ってところ。プリペイドでこの値段だと、たぶんこのイタリアの端末にもSIMロックはかかっていて同じ状態で、日本のインセ販売と同じ。プリペイドの通話料はポストペイドより高くなっていてと思われるし、端末は通話とSMSしかできないようなほんとに格安のものだと思われる。50ユーロは、加入権と端末の分離のおかげで競争原理が働いた結果の値段ではなく、インセ販売による値段。
分離販売で安くなるのは、基本使用料と通話料。端末自体の値段は逆に高くなる。
“インセ販売”なら端末を安く買えるし、“分離販売”なら通話料が安くなる。どちらも一長一短があるわけで、一概にどちらにしろとはいえない。ただ海外では上手く両立しているのがポイント。
海外のインセ販売では期間が決められていて、その期間が過ぎれば端末のSIMロックを解除してくれるし。
そもそも、なぜ日本の携帯キャリア海外レンタルを頼まなかっただろう? たとえば、ドコモなら通話料をのぞけば、1日100円でレンタルできるし、FOMAを使っているなら、FOMAカード(SIMカード)に50件はアドレスを入れられるから、レンタルした携帯でもアドレス参照できるのに。これは、auでもSBMでも基本は同じ。
通話料が高くなるので、現地の携帯をレンタルしたというのなら仕方がないが、それなら鎖国状態の批判にはならないし。海外キャリアでも国外ローミングが高いのは同じ。
海外でMNPが大流行なのは
●端末にはSIMロックがかかっていない
●SMSが別キャリアでも利用できる
この2つが揃っているから。これなら、“今使っている携帯電話”で“今使っている番号”のままキャリアを変えることができる。
一見便利そうだが、デメリットもあって、
●端末の値段がベラボウに高い
●通話とSMS以外のオリジナル機能を持たせにくい
というところがある。端末の値段が高いのは、キャリアからのインセがないため。たとえば、流行のワンセグ搭載機は通常ならばメーカーは6~7万円くらいで販売しなければ儲からない。通話しかしないような端末でも1~2万円はするもの。
また、LISMOとかオリジナルコンテンツは、キャリアと端末メーカーが共同で開発していかないとダメ。これが“どこでも使える端末”となると、結局“どこのオリジナルサービスも使えない”最小公約数機能的携帯しか出せなくなる。まぁそれでもNOKIAのE61みたいなのは出せるわけですが。
だから、修理で新規購入4万円と言われるのは当然のことで、それが携帯の本当値段。回線と端末の販売が分離したら、修理といわず、買い替え時には必ず4~7万円くらいの出費が必要になるわけで。
日本人の多くは、いま店頭で並んでいる端末の値段を基準として認識してるから、海外がSIMフリーで基本&通話料が安いと聞くとそっちを羨ましがるが、それを導入すると端末の値段が倍以上になることも考慮しないと比較にはならないからね。
それよりも、電気通信事業法のほうが問題。
現在ドコモとSBMがW-CDMA(3G)を採用しているので、外国製の携帯電話でもW-CDMAに対応していれば国内に持ち込んで使用することができる。
つまり、外国キャリアが日本でのローミングサービスを行なっていればそのまま利用できる。
また、持ってきた外国製の携帯がSIMアンロック機なら、SBMのレンタルSIMを使うことができる。
ただ、使うことはできるが電気通信事業法では認定を受けていない端末を国内で使用すると違法になってしまう。
海外からの日本滞在者の使用に対しては、今のところ黙認といったところのようだが、たとえば日本人が海外で気に入った携帯を購入して、国内で使っていると厳密意に言えば違法となってしまう。
このへんから切り崩していかないと、開国にはいたらないなぁと思ったりする。

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