【Imagine Cup2012 番外編】記事には書け(か)ない個人的感想

 昨年に続き、今年もマイクロソフト主催のImagine Cupを取材してきました。今年は、2部門に3チーム出場して、1チームがベスト5、1チームが準優勝と過去最高の成績。
 出場チームの子たちも皆よい子で、アラフォーのおじさんは目をうるうるさせながら大会中取材をしておりました。
 まぁ、その模様は、週アスPlusで書いているのでそちらを参照くださいな感じですが、そっち基本的には外向けの善なオイラが書いておりますww

 こっちには、記事に書か(け)ない雑感みたいなものを残しておこうかなと。ちなみに“書か(け)ない”ってのは、裏話とか酒の席でのオフレコの話ではなく、“どうすれば日本がImagineCupに勝てるのか?”って話です(品川の人ご安心くださいw っていうかすでに裏話書きすぎって注意されてるしねwww)。

 まぁというのも、自分自身が大学生の部活動をめんどう見ている立場からすると、基本的には学生の自主性を重んじて、好きなようにやらせたいじゃないですか。そのほうが今ふうでカッコイイし理解があるふうだしw で、ウチの部活も今年、なんと個人戦で全国大会なんですね。わりと好きにやらせて。
 でもそれは選手のパーソナリティーによるところもあって(高校からの経験者で、勝てる練習方法とか知ってるし、非常に負けずギライ)好きにやらせて成功した希有な例。

 例年は、学生に自由にやらせるとたいてい、“勝つためのプロセス”から外れるわけで、そのときどう対処するか非常にジレンマ。こっちで、口を出して手を出して、勝つ方向へレールを引きたくなるわけです。

 でも学生からしたら、学生のための活動なんだから、「自分のやりたいようにやって、押しつけられてそれでやり遂げても感動がない」という話になる。実際Imagine Cupの報告会でもチームメンバーがそう言っておりました。

 でもね、それって今回上手くいったからこそのの感想だと思うのよね。自分たちのやりたいようにやった方向が、勝てる方法というかレールと一致してたからだと。きっと関係者のかたたちが、学生たちには気づかないように、やるきをそがないように、学生たちのやりたい方向が勝ちに結びつくレールへと導いたという面もあるんじゃないかなぁと。

 やべっ なかなか本題に入れない……

 えーとなにが言いたいかというと、やっぱり負けたら悔しいし、勝負な以上勝ちにこだわりたいわけですわ。野球漫画で言ったら、同じ勝つにしても、汗と努力と感動の『タッチ』的なストーリーより、野球や高校野球をじっくり研究して勝つための野球をする『砂の栄冠』とか『ラストイニング』とかのほうが好きなんです。

 でまぁ、2年連続でImagine Cupを取材したうえで、自分が勝つために出るとしたらどうするかな? というのを書いておこうと。

 前置き長すぎたなぁwww


●身近なテーマをピックアップする
 Imagine Cupでは2006年から『国連ミレニアム開発目標』をテーマとしたソリューションという縛りがあります。その内容は
1,極度の貧困と飢餓の撲滅
2,普遍的な初等教育の達成
3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
4,幼児死亡率の引き下げ
5,妊産婦の健康状態の改善
6,HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
7,環境の持続可能性の確保
8、開発のためのグローバル・パートナーシップの構築

 これ字面だけ見ると、マジメな学生はアフリカとかアジアの貧困層をイメージして、そこを救わなきゃ! と、ターゲットにしてしまいがち。でも、貧困とか普遍的な教育とか、疾病の蔓延とか、普通に日本に住んでると、実感できないものばかりです。
 「必要は発明の母」とはよく言ったもので、自分が実感できないもは、結局ピントのずれた解決方法しか思いつかないんですよね。「パンがないならケーキを食べればいいじゃいの」的な。

 このピントがずれたソリューションで、あとでも書きますが、ビジネスモデルとして魅力がないので、評価が低くなりそうな感じです。

 まぁ日本人が身近に実感できるのは、7くらいでしょうか。とはいえ、いちばん多くピックアップされるテーマは7なんですけどねw。


●完成品とハードウェア

 優勝するチームのソリューションは、基本的に完成してます。少なくともデモは完動します。モックだけの机上のアイディアは評価が低いです。それと、昨年まであった“組み込み開発部門”がなくなってたので、ソフトウェアデザイン部門といえども、“ハードウェアによる見た目のインパクト”がかなり重要だったのではという感じも。当然ハードウェアも動きます。

 つまりソフトウェアデザイン部門といえども、オリジナルのハードのあるほうが有利と。

 それと、完成品のほうがビジネスモデルとしてイメージしやすい。今年優勝したウクライナのチームは、デジタル手話システムでしたが、どこかの企業があのまま買って行ってもいいくらいのできでした。



●スケジューリング

 ソリューションは絶対完成させるとして、完動ソリューションは日本大会までに完成させておくことが重要かなと。今年の日本大会はハッキリ言えば
、プレゼンの善し悪しもありましが、大きいのはソリューションの完成度だったような。東京高専チームのは完成してましたから。
 世界大会で勝つには、日本大会後は世界大会で勝つための準備しかする時間はないですね。つまり“プレゼント英語の特訓”。日本大会後にソリューションを改良してとか、新しい機能をつけてとかは、現在のスケジュールではまず無理ですな。

●プレゼンは演劇、Q&Aは大喜利というかひな壇トーク

 Imagine Cupのコンペは基本、プレゼン+Q&Aで行ないます。今年の東京高専チームのプレゼンは素晴らしく、ショーのようでした。普段英語を使っておらず、プレゼンの経験も少ない日本の学生には、これが正解かなと。スピーチを練習するのではなく英語劇として覚え振る舞ってしまうと。

 問題はQ&Aですな(まぁ私も英語できないので審査員の質問分からなかったりしますが)。まずおどおどしないことなんですがね。ハッキリ言って審査員も世界各国からあつまってるんで、審査員の英語もひどい訛ってますw だから「なんだよお前の英語はっ!? 訛ってききとりずれぇなぁ」くらいの上から目線のほうがいいかもw

 それと、明石家さんまさんが「トーク番組はテンポや! ふられたら嘘でも良いからすぐ返せ!」と言ってますが、まさにあれ。とにかく質問を理解したらまずYesかNoで答える。その後で理由を話す。日本的な会話のクセで、意識しないとどうしても結論が後回しになってしまいますが、グダグダと苦手な英語で話すよりはまず結論。

たとえばですね、
「Kinectに対応する予定は?」
と聞かれたとき
「現状ではうんぬんかぬんで技術的にうんぬんかんぬんで、今回は実装してないが将来的には対応する計画があります」
って、英語で言おうとしても難しいでしょ。これ結論からすれば対応よていがあるんだから
「Yes」
って答えればいいわけ。

で、「Yes」って答えたあと、ちょっと間を置くと審査員が理由を知りたいときは
「なぜ今回は使わなかったの」
とか聞いてくるはずだから、そのときにあらためて、云々かんぬんのところえを言えばいいし、質問がなかったら、そのまま理由を続ければオーケーじゃないかなぁ。

 あと、嘘でもいいから、「なにかこういう計画はあるの?、この製品への対応は?」とか聞かれたら、「Yes」って答えとけw でも今の体育会の部活でもそうだけど、大会や勝負事の活動する子たちって、マジメで素直な学生が多いんですよねぇ、

●ゲームはどこもプレゼンがダメダメ

 これは審査とかけ離れた感想になるかもですが、ゲームデザインの2部門にでてたチームの多くが、プレゼンがつまらない。とにかくゲーム画面がなかなか出てこない……おじさん退屈しちゃうよ。
 『国連ミレニアム開発目標』のテーマ説明が長いんですわ。それでいて、あまり関連してなかったりってゲームも多かったし。その点のバランスが良かったのはゲームPhone部門のアメリカ。テーマと問題提起からゲームシステムへの流れが抜群でした。
 アメリカチームはとにかくデザインがダメダメでしたが(ゲーム画面も、プレゼンビデオのセンスもw)、それでもプレゼンはおもしろかったし、ゲームも良くできた。
 日本チームもこのバランスがあれば、もうすこし成績が良かったかも。とくにチーム※ブロッサムは『国連ミレニアム開発目標』の関連性についての説明が弱かったかなぁと。


 まぁこんな感じで『自分なら勝つためにこうするなぁ』っていうイメージはできてきました。ただこのイメージを学生に載せるかどうかっていうのは、最初のジレンマにもどるわけで。「これで飢餓が救えます!」ってとんでもなくピントの外れたもの持ってきたとき、それは「勝てないからダメ」とは言えないよねぇ。

 直接の関係者じゃなくて良かった!wwwww

 でもやっぱり、オイラは「勝ちにまさる充実感はなし」だと思うのです。

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