ホームサーバーは来ない

夕刊フジBLOG
大前研一のIT時評-2004年12月その3

上記の記事で「いずれは家庭に置かれたホームサーバーの中に、家族全員のデータが入る時代が来るでしょう。」と書かれている。
オイラも以前まではそう思っていたが、最近、「ホームサーバー」って来ないんじゃないかなと思っている。
「ホームサーバー」は、つまるところあらゆるデータをひとつのメインマシンで管理して、それにぶら下がるようにクライアントマシンでそのデータを利用するわけだが、上記のブログでも書かれているとおり、「データの保存作業」はかなり面倒な作業だ。その面倒な作業を「ホーム」のためにできるのは、よほどの趣味人かまめな人だけだろう。データを管理すると言う作業は「パーソナル」のためにやるから、やる気がおきるわけで。実際、家族のために聞くか分からない音楽データをサーバーに保存しておくなんんて作業はオイラには面倒くさくてできない。自分が聞く音楽なら手間も惜しまないが、そのデータはパーソナルなマシンに入っていればいいわけ。
実際、オイラの自宅にはサーバー用のマシンが立ててある。基本はWEBサーバーだが、外出先からアクセスしてデータを引き出したりもできる。が、ほとんどやったことはない。
というのも、仕事で使っているデータをサーバーにあげる手間が面倒くさいから。それよりも仕事で使っているマシンに直接アクセスできたほうがラク。
たしかに、ホームを管理するマシンというのは登場すると思うが(固定電話が進化したようなものだと思う)、それがすべててのデータを管理、保存するようになるとは思えない。だいいち、それが壊れたたらおしまいだし。
じゃぁどうなるのかというと、結局データを管理・保存できるデバイスはすべてネットワーク対応となり、それぞれの分野でそれぞれの担当データを管理して、必要なときに別のデバイスからアクセスする分散型が発展していくんじゃないかな。
たとえば、デジタルレコーダーはテレビ番組の予約担当で、テレビ番組を保存する。視聴する場合もネットワークを使って、家庭内のどのテレビ、どのPCからも視聴できる。しかも、そのうち価格も安くなって、一家に1台ではなく一人に1台の割合になるだろうから、それぞれパーソナルな番組を録画する。
父親に「暇だからなんか映画ない? 俺が録ったのは全部見ちゃったよ」って聞かれた場合、「俺の録画機のあれオススメ。みていいよ」ってな感じ。
音楽でも静止画でも、結局それぞれのパーソナルなマシンに保存してあったほうが、扱いはラク。パーソナルな作業だから保存に関して苦にはならないし。
要はパーソナルなデバイスに自由にアクセス(もちろんパスワードなどのセキュリティーは施すが)して利用できればオッケーなのだ。そうすれば、たいそうなホームサーバーなんていらないなぁと。分散型っちゅうことだね。
だいいち、すべてを一元管理するマシンじゃ買い替えが大変。個々のデバイスなら、そのつどそれだけを新調すればいいわけだし。
それじゃぁ何が重要になってくるのかというと、「検索」なんだと思う。
つまり、「家族の誰かがこのデータ持ってないかな?」と調べられる方法。ネットワーク内をくまなく探して欲しいデータを探す技術ちゅうわけ。
Googleなんかがデスクトップサーチに力を入れているのもそういった考えなんじゃないかなぁ。
まっ結論を言うと、ひとつのところにすべてがあるのは、すっきりして、分かりやすく気持ちが良いかもしれないが、案外不便。
それよりも、必要なものは自分で所持して、かつ仲間内で誰が何をどこに持っているか、ということが分かれば(検索&アクセスできれば)、十分だし便利ってこと。
性善説の上に立ったP2Pがホームネットワークの最適手段なんじゃないかな、というお話でした。

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